当別の廃校舎 地域再生の拠点に 〜 家具工房が”木育”活動
昨年3月で廃校になった石狩管内当別町内の小学校の校舎が、地域再生の拠点に生まれ変わりつつある。
札幌市から廃校に移転した家具工房が、食育ならぬ”木育”の場として、地域の農村や、自然の魅力を家族で
体験してもらう拠点づくりを進めている。宿泊出来る施設にしようと、地域の農家も協力する。
旧東裏小学校に札幌市の家具工房「旅する木」が移転したのは昨年の10月。家具デザイナーの須田修司さ
一家が同町に移り住み、体育館を家具製作の場とした。須田さんは、廃校を選んだ理由を「単なる工房では
く、学びの場を作りたかったから」だと語る。
須田さんは木に触れる事で豊かな心を育む「木育」に取り組む。週末には札幌市民らを対象にした木工教室を
開催してきた。椅子などを製作課題にし「苦労して作ってもらう」(須田さん)大人向け教室だ。
一方で、家族で楽しめる場となるよう、各教室の改装も進める。職員室は須田さんの妻が地元の自然食材を提
供するカフェに、保健室は子供達が木のおもちゃで遊ぶ場とする計画だ。来年5月の大型連休にオープンを目指
している。
工房はインターネットにホームページを持つだけで営業活動は一切行わない。だが、札幌に工房があったころ
よりも売り上げは伸びた。
須田さんは「こういう地域で、こういう人間が、こういう思いで作っている。それが伝われば付加価値にな
る」という。現在の注文分だけで来年4月までかかる状態だ。
廃校の活用に地域の農家も協力する。小学校に隣接する貸農園に通う人のために宿泊施設を用意しようと、須
田さんの指導のもと農家らが木製ベッドを6台作った。あわせて理科室を宿泊者が自炊できる調理スペースとす
る計画だ。来年からの運営に向け、準備が一歩一歩進んでいる。
|