from Madre ほくでん電化生活情報誌 2010 winter Vol.6
2010.1.29発刊
北の快適生活を作る人々 家具工房旅する木 須田 修司さん
・木とクラフト&家具 使う人と創る人との関わりを大切にした家具
かつての小学校が工房に
「家族でやってきて、子供達は木のおもちゃで遊び、お父さんは木工教室、お母さんはカフェで
お菓子とお茶を楽しむ…。この旧校舎が、そんな風に人が集う場所になるのが、僕の夢なんです。」
須田さんの家具工房は、昨年3月に廃校になった東裏小学校の体育館。かつての教室が、作品を
展示するギャラリーです。「いいものを造るというのは、基本中の基本。さらにいろんな人が遊びに
来れる家具屋さんになりたいと思っています。」
須田さんの家具は、すべてオーダーメイド。ホームページを見て、全国から問い合わせが入ります。
「デザインも一からご提案します。お客様からまずご要望を聞き、3パターンから多い時には10パタ
ーンのデザインを作成。これを基にお客様とお話をして、どんどんプランを詰めていきます。そうし
てデザインや、料金にご納得いただいたところで、ようやく契約という段取りです」。好きだけれど
大変!というのが椅子造りです。「オーダーですから、お客様にぴったり合わせないと。そのために
原寸の試作を30回くらい繰り返し、座り心地を調整します。製作に入って9割くらい出来上がると、
もう早く座ってみたくてしょうがなくなるんですよ(笑)」。
顔が見えるものづくり
シンプルな造形と木目を活かした表面の美しさが、須田さんの家具の特徴です。「オーダーですか
ら、デザインをお客様の雰囲気に合わせることを心がけています。木に塗料で色をつけないのも、僕
のこだわりの一つ。材料に何種類かの木を使うことで、デザインにアクセントを演出しています」。
クラフトのヒット商品となったのが、木の「乳歯入れ」です。「10年前に妻のオーダーで娘のため
に造ったのが最初。抜けた場所に乳歯を入れて、日付も書いて。真ん中にはへその緒と、髪の毛を収
納するスペースがあります。この形になるまで妻から5〜6回、『かわいくない』とダメ出しをもらい
ました。人気はそのお陰です(笑)」。
大学を卒業してカメラメーカーの開発部門勤務後、旭川の学校や、工房での修行を経て、4年前に独
立した須田さん。「ずっとものづくりをしてきましたが、それぞれの暮らしにマッチしたものを、お客
様の顔を見ながら造りたいという思いが強くなって。この思いが今の形のベースです」。5月には、奥
さま自慢の安全、安心のお菓子や、お料理が味わえるカフェもここにオープンする予定。「人が集う場
という夢へ、一歩ずつ近づいていきたいですね」。
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