星野さんの本「旅をする木」の中に、
鳥がついばみながら落としてしまう幸運なトウヒの種子の、
果てしない旅の物語があるのです。
様々な偶然を経て川沿いに根づいたトウヒの種子は
やがて大木に成長し、森の動物たちに様々な恵みを分け与える。
川の浸食は少しずつ森を削ってゆき
やがてその木が川岸に立つ。
ある雪解けの洪水にさらわれた大木は
ユーコン川を旅しながら小鳥たちの休憩場所となり
ついにはベーリング海へと運ばれ
北極海流によりツンドラ地帯の海岸へとたどり着く。
木の無いツンドラの世界で一つのランドマークとなり
一匹のキタキツネが
テリトリーの匂いをつける場所となる・・・。
一本のトウヒの木の果てしない旅の物語り。
種子から始まり様々に姿形を変えながらも
必ず何かの役に立っている木。
いろんな旅をし、めぐり巡って僕の所へやってきた木を
大切に家具という形に変え、お客様の元へ旅立って欲しい。
このような気持ちを込めて
『旅する木』
を社名にしようと思ったのです。