先日、ある男性が工房に来てくれました。
「彼女にプロポーズするのですが、彼女が旅する木さんの作品がとても好きなので、
指輪を入れるケースを作って下さい。」
との依頼。
こんな依頼されたら気合いが入らない訳がない。
「よ〜し。絶対にプロポーズを断れなくなっちゃうようなものを作ろう!」
なんて要らぬ心配は置いておいて、気合いを入れて製作しました。
大切なものをリボンで包んでいるイメージなんです。
ラインのウォールナットのパーツが2ミリとか3ミリで、しかも全部留め(45°)
にカットするので、手でパーツを押さえると、指先の1ミリ先が1秒間に何千回転している刃物。
なんていうとっても危険な作業。
ちょっと油断したり、恐々と加工していると、数ミリのパーツがパ〜ンといって飛ばされちゃう。
コンタクトをなくしたときの様に、床に這いつくばって、飛んでいったパーツを探したりして。
そんな苦労をして、箱が完成。
『ありがとう』の文字も入っているんですよ。
そして指輪をはめ込むスポンジみたいのをどうしよう?これは妻の分野。
妻が素朴だけど、可愛らしさと爽やかさがある布をいくつか探してきて、手縫いして試作。
深さとか、きつさとか、何度も調整しながら完成〜♪
小さいけど、とっても苦労したring-case。
でもその可愛さに大満足。
「あ〜、渡す時こっそり近くにいて、彼女の反応を見てみたい!」
なんて思っていると、
「指輪を入れるケースにまで気を配ってこだわるんだから、優しいんだね。ステキだね〜。」
「・・・」
聞こえない振り(笑)。
プロポーズする日を聞いていたので、なんだか自分の事のように、その日を待っていたりして。
妻と「どうだったかな?」なんて話していると、
打ち合わせで僕が工房を留守にしている間に電話があって、妻から、
「とっても喜んでくれて、OKもらったって!」というメールが入りました。
なんだか自分の事のように、とても嬉しくなりました。
プロポーズという一世一代の大事な、そして、一生の記念、思い出になるイベントに
旅する木の作品を選んで頂いけるなんて、とても嬉しいことです。
”もの作り”を通して、”物語り”を作っていきたい。
という思いで毎日木と向き合っている僕にとっては、また一つ、僕自身思い出に残る、
物語りを作らせて頂きました。
Kさんご夫婦(まだですね…)、おめでとうございます!どうぞお幸せに。
またいつでも、工房に遊びに来て下さい。お待ちしております。
プロポーズ?僕の場合?
う〜ん、物語りになっていませんね。残念!!