ノンノ、頑張ってます! | 札幌のオーダー家具・オーダーキッチンなら家具工房【旅する木】

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ノンノ、頑張ってます!

ノンノ〜!
いい笑顔だね♪
元気になってくれてありがとう〜♪

そうなんです。
年始に脳梗塞で倒れてしまったノンノ(北海道犬17歳♀)。
その後、日に日に元気になってます!

倒れた後、しばらくは真っ直ぐ歩けなくて、ひたすらその場合で左回転をしていたのですが、それも少しずつ真っ直ぐ歩く感覚を掴んできているんでしょうね。左回転の直径が大きくなってきて、散歩のとき、僕がリードで少しガイドしてあげると、ちゃんと真っ直ぐ歩いています。

本当にすごい!
北海道犬で17歳といったら、人間で言えば90歳くらいなので、この回復力はすごいと思います。

脳梗塞の後遺症で、平衡感覚がおかしくなったようで、写真のように、首を左に傾けたくらいが平行だと思ってるんでしょうね。いつでも首を傾げています。
ノンノは元々右目が見えないので、左に顔を傾げると、見えている左目が下になって、余計に視野が狭くなってしまいます。
なので、僕の気配を感じると、顎を上に上げて、元々大きい左目をもっと見開いて、まん丸にして、一生懸命僕を探そうとするんです。

その顔が今までにも増して、可愛くて可愛くて。
「ノンノ〜♪」と言って抱きしめてしまいます。
体調は万全ではないんでしょう。だらんと垂れ下がっているしっぽが、その時だけ、クルンっと上に持ち上がって、フリフリします。

この17年間、感情を素直に、正直に表現するノンノのフッサフサのしっぽのフリフリに、何度癒されたことだろう。
「ノンノ、人間はね、複雑な人間関係の中で、気持ちとはうらはらに、ニコニコしなきゃいけない時もあるんだよ。全ての人にノンノのしっぽがついていたら、それこそ大変だ。でも、本当はいつでも自分の気持ちに正直に生きられたら、その方がいいのかもね〜」
なんてノンノに話したこともあります。

倒れてから回復してくるにつれて、なんだか今までにも増して、ノンノは感情に素直に、正直になっているような気がします。
つまり、頑固でわがままになってきたような(笑)。
そしてそれに伴って、本当に純真無垢な目になったような気がします。
きっと視界が狭くなった分、よく周りを見ようと、目を大きく開くようになったからですかね。

散歩中、疲れたら座り込んで意地でも動かない。仕方なく家の近くまで抱っこして連れてって下すと、今度はガンとして家に入ろうとしない。
リードを引っ張っても動かないくせに、家から離れる方向に僕が歩こうとすると、よろっと立ち上がって歩き出す。
そしてまた疲れたら伏せをして動かない。

「ノンノ、もう寒いから家帰ろう!」
とリードを引っ張っても動かない。
ノンノの顔を覗き込むと、こんな目で僕を見てくる。

「そしたらもうちょっとだけ、散歩するか。でも、自分で歩いてよ。重いんだから!」
っとなる。

朝は「絶対工房に行く!今行く!」
夕方3時くらいから、「お腹すいた!ご飯食べたい!!!」
「早く!オシッコ漏れる!」
「水いらない!」
「薬いらない!!!絶対食べない!」
「寝る!」

今の僕の生活はもう、ノンノの付き人。
「もう、パパなんも出来ないじゃん!」

そう言いながらも、倒れてからしばらくは、手足が伸びきって、ただ横になって、左半身は動かなくて、立つことも歩くこともできなくて、ハアハア苦しそうな呼吸をしていたことを思うと、ノンノのわがままに付き合っていられるのがとっても幸せで嬉しい。

今でもほぼ24時間介護の状態です。
寝ててくれれば楽なんだけど、動き回る時は、ストーブや、障害物にぶつからないように見守って、鼻が乾いていたら水を飲ませ、栄養のあるご飯を作って食べさせて、夜はノンノの横で寝る。
いつもノンノは、22時、0時、3時、6時くらいに起きるので、その都度抱っこして外に連れて行ってオシッコをさせています。

こんな生活も今日でちょうど1ヶ月。
絶対に寝不足で、ストレスが溜まるはずなんだけど、どういう訳か、僕は今までにないほどストレスを感じず、優しさと幸福感に包まれているんです。

キーンと冷えきった真夜中、ノンノがオシッコをするのを待っている時、夜空を見上げると、無数の煌く星々の光が揺らめいている。
それなのに、僕の家を囲う木々たちは、雪原の上を漂う夜霧に足元を隠されて、ぼんやり宙に浮かんでいる。
こんな美しい風景の中にいると、なんか無性に叫びたくなる。
「ありがとう〜」っと。

この美しい風景に対してなのか
ついこの前まで、立つことも出来なかったのに、こんな風に元気になったノンノに対してなのか
何万年、何億年という気の遠くなるような時をかけて、今、僕のところにやってきてくれた無数の星々の光に対してなのか
はたまた、こんな風にノンノに寄り添えている時間に対してなのか
なんだかわからないけど。

きっと近所の人たちは眠りの中だろう。
元々近所と言っても100m以上離れているし、そもそも2軒しかないし…
僕は夜空に向かって目一杯両手を広げて、大声で叫んでしまう。
「ありがとう〜」

叫び終わった後、シーンと静まりかえった空気の中に溶け込むように、僕を安心させてくれる音。
シー、ショボショボジョボ

オシッコをし終えたノンノを抱っこして、ノンノの寝床に連れていって横にならせて、僕はノンノの横に寝る。
ちょうどノンノの手が僕の目の前にあるので、そっと手を繋ぐ。
どこを触っても大丈夫なノンノですが、手はちょっと苦手なので、スーッと僕の手から離されます。

寒さですっかり眠気が覚めたので、ちょっとノンノをからかいたくて、また手を繋ぐ→離す→繋ぐ→離す…

そのうちノンノは、ふーっとため息をついて、のっそり立ち上がって、僕の足元の方に移動して、僕の足を枕にして寝始めます。
この重さに心が満たされて、僕も眠ります。

これがこの1ヶ月の僕とノンノの生活。

今日、ノンノは目標にいていた、自宅から工房までを、自力で歩いてたどり着いたんです。
足腰が弱っているので、滑る雪に途中で何回もこけては動けなくなって、抱っこして欲しそうだったのですが、励ましながら、なんとかたどり着きました。

ノンノは家よりも、どこよりも工房が大好き。
機械がガンガン回って凄いうるさいのに、熟睡しています。

7年前に、病気で死ぬ一歩手前までいった時、もう全く動けなくなって、ああ、今日が最後だなっという日、当時のスタッフ全員に休んでもらいました。
ノンノと2人で、工房で一緒に過ごしたかったんです。
ノンノが赤ちゃんの頃から、毎日ずっと2人で工房で過ごしてきたので。
実は今回も、それを覚悟しました。

でも、今ノンノは、小さくいびきをかきながら、寝ています。
こんな顔で。

この寝顔を見ながら思います。
「今、僕のお尻にしっぽがあったなら、クルンと上を向いて、すごい勢いでフリフリしているんだろうなぁ。」