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老犬と老木に優しい風よ吹け!
冬がすぐそこまでやってきている北海道。
寒くなって、日の出も遅くなって、毎朝の犬の散歩もちょっと億劫。
まる(柴犬3歳)は、寒くなった方が元気いっぱいで僕を引っ張って走ってます。
若い頃はマイナス20°でも平気で外で寝ていたノンノ(北海道犬13歳)は、おばあちゃんになって、すっかり寒さに弱くなって、立ち止まっては、痙攣した足の肉球を舐めたり噛んだりしている。
ノンノとまるの散歩のスピードがあまりに違うので、散歩はそれぞれ別々にいってます。
まるは颯爽と走るので、僕も負けじと自転車のペダルを思いっきり踏む。冷たい風が頬を刺す。
ノンノはのんび〜りなので、毎日少しずつ変わっていく風景を眺めながら。サクサクっと、落ち葉を踏む音が心地いい。
これからの季節、犬たちは夏毛が抜けて、冬毛になるんだけど、歳をとるにつれて、ノンノは冬毛が生えそろうのが遅くなって、一番寒い1月2月に夏毛がごっそり抜ける感じになる。
新陳代謝なのか、細胞分裂なのかわからなけど、加齢と共にそのような気温の変化に対応する力も弱くなってきているんでしょうね。
真冬に夏毛と冬毛がまばらになって、足を痙攣しているノンノを見ると、なんかちょっと切なくなる。
散歩しながら
「ノンノ、早く冬毛にならないと、もうどんどん寒くなるよ。」
なんて言うんだけど、耳も遠くなったノンノには聞こえてないみたい。
そんな冬の気配真っ只にしては珍しく、今朝は生暖かい南風が、散歩コースの防風林をゴーゴーと音をたてて木々を揺らしながら駆け抜けている。ものすごい勢いで。
気温の変化に対応できなくなってきているのは、ノンノだけじゃない。
防風林の老木も。
でもこの強風で、昨日まで枝にしがみついていた葉っぱも飛ばされて、今朝はほぼ全部の木が葉っぱを落としている。
僕はちょっとほっとする。
なぜかって。
天気予報では明日から雪が降るらしい。
ここは豪雪地帯。
この前の冬は特に雪が多くて、平家の工房は地面から屋根まで雪で埋まった。
そんな地域の広葉樹たちは、ドカ雪が降る前に葉っぱを落としておかないと、葉っぱに重い雪が乗っかって、枝が折れてしまう。
だから秋になると、木々たちは必死に葉を落とすように、葉っぱへの水分の補給を止める。
光合成に欠かせない葉緑体が減って、元々の葉の色が現れ始める。これが紅葉。
そうして今まで自分が幹や枝からもらっていたエネルギーを、全て幹や枝に返して、枝から離れていく。
雪が降っても、幹や枝が折れないように。
自分の役割を全うして、最後は木を守るために離れていくなんて思って落ち葉を見ると、君達はなんて愛おしいんだろう。って思う。
老木になると、この循環が鈍くなって、葉を残したまま冬を迎えて、枝が折れてしまうことがある。
だから、雪が降る前の木々たちが、全ての葉っぱを落としている姿を見ると、ほっとする。
間に合った!
そして、強く冷たい初冬の風が吹くと、そんな風に強がってるけど、本当は優しくて、木々の葉っぱを落とそうとしてくれているんでしよ?
なんて思う。
今朝の防風林をゴーゴーと音をたてながら駆け抜けている強風は、暖かい南風なので、余計に優しく感じる。
この強風がノンノの夏毛も吹き飛ばしてくれればいいのに。
寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人とを近づけるんだ。