『家具工房旅する木』は豊かな「暮らし」、「心」、「時間」をご提案、ご提供します。


つむじ風通信

実は、学生の頃シナリオライターになりたくて、新聞社のコンペに出展していました。
箸にも棒にも引っかかりませんでしたが‥
文章を書くのは好きなので、妻のそよかぜ通信とともに、日常でのちょっとした出来事を
載せていこうと思います。なんちゃってシナリオライターにお付き合い下さい。

3/22 ”同級生の椅子”

北海道は、冬と春が、一進一退を繰り返しています。
ここのところ、冬が勝っていますね。
札幌の3月では十数年振りの真冬日を記録したようです。
工房も寒い!

先日、静岡県にお住まいのお子様(8ヶ月)に子供椅子を製作し、発送しました。
おばあちゃんの、お孫さんへのプレゼント。
そして、可愛いお孫さん、海人くんが座っている写真を送ってくれました。
カワイイですね〜。
ご家族も、そして何より、海人くんがとても喜んで座ってくれている様子を
伝えてくれました。嬉しいですね〜。

正直に申しますと、椅子は材料の歩留まりも悪い(捨てる部分の材料が多い)し、
手間がかかるので、1脚での注文は割に合わないんですね〜。
「ダイニングチェアー、1脚」っていう注文ってあまりないのだけど、子供椅子は大抵
1脚での注文なので、工房や会社によっては、子供椅子を作りたがらなかったり、
アイテムとして持たないところもあるんですよ。
あっても、簡単な作りだったり、”高さが変えられる”という機能だけ重視な、
簡素なデザインだったり。

でも、もの心つく前から、デザインされた、木の椅子に触れて育つということは、
きっとその子の心に何かしらの良い影響を与えてくれると思うんです。
だから僕は子供椅子だからって、機能もデザインも、座り心地も、製作も、
他の家具と同じようにこだわって作っています。

今回製作した椅子、実は僕がまだ旭川での修行時代、娘のために、デザイン、
製作したもの。そしてその後、息子にも樹種違いで同じものを作りました。
中学一年になった娘は、ついこの前まで座っていました。

もちろん息子は今も座っています。
息子がつかまり立ちしていた頃、ちょうど口のところに座面があるので、いつも
カジカジしていて、息子の椅子には今も歯形がいっぱい付いています。
子供椅子は、そんな歯形も含めて全部思い出。思い出がいっぱい詰まっています。

きっと、いや絶対使わなくなったからって捨てずに、取っておきます。
そして子供たちが結婚して子供が産まれたら、使うんだろうなぁ。
「お母さん(お父さん)が使ってた椅子だよ。」って。
それって、すごく豊かで幸せなことですね〜。

今回届けた海人くんも、旅する木の子供椅子に思い出をいっぱい刻んでいってくれたら
嬉しいなぁ。と思います。
自分と同い年の椅子。

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3/15 ”不思議な世界への入口”

先日、妻と、不思議な世界を体験しました。
ヒーリング療法といって波動を検知して、体の不調和を発見し、気を使って治療する
というものです。

不思議ですよ〜。だって、診てもらうのに、話しは聴くのですが、
体に触れたりせずに、人の体や、骨盤、内蔵などが描かれた絵の上で
先生と、お弟子さんが二人でフーチングをしながら、
「骨盤と仙骨のつながりが…」とか、「背骨がどっち方向にどれくらいねじれている。」
とか、言っているんです。

『フーチング』ご存知ですか?
以前のつむ通でちょっと触れましたが、丸い石みたいなものに鎖がついていて、
鎖を持って石をぶら下げて、クルクルと右回り、左回りとかやって、波動を測定するというもの。

そう、先生、実は旅する木のお客様。
去年の夏、工房に来て下さり、ショールームやカフェの家具の上でクルクルやっていて、
「…?」と思って聞いたんです。「何してるんですか?」
その時、フーチングのことを教えてくれました。
そしてその場で僕の股関節の不調を見抜いて治してくれました。

そして、自分の治療院のソファの製作を依頼して下さり、先日、納品させてもらったのです。
納品の時、ソファが出す波動が右回り(高い波動)しなかったらどうしよう?っと
ちょっと心配でしたが、
「大丈夫ですよ。素晴らしいです。」と言って下さり、ほっとしました。

さてさて、妻。
育児に疲れて、体力がガクンと落ちた時、突発性難聴になり、病院では、
「すぐにステロイド剤を使った治療をしなきゃ、耳が聞こえなくなる。」と言われました。
その頃、下の子に母乳をあげていたので、ステロイド剤を投与されたら母乳はあげられなく
なってしまいます。
ちょうどその時、僕が鍼灸の先生の治療院のベッドの製作をしていて、相談したところ、
「治せるよ。何人も治してきたから。」と。
早速診てもらい、見事に治してもらいました。

それから大部体力も回復してきたのですが、まだ弱いな〜。という印象は否めず、
そんなタイミングで”クルクルの先生”に出会い診てもらいました
ついでに僕も診てもらったのですが、仕事柄、長年の肩こりと、父親似の猫背が、
”気”での治療を10〜15分くらいやった後、見事にスッキリ、ビシッ!!
体が軽くなって、じっとしていられなくなって、先生と話しながら意味もなく
室内を歩き回っていました。
「早く工房に帰って仕事したい!」という感じ。

ヒーリングによる治療も本当に不思議ですが、鍼灸の先生、ヒーリングの先生との、
”ちょうど”のタイミングでの出会いも、本当に不思議です。

目に見える世界しか信じたり、意識したり出来なくなってしまっている僕たちですが、
本当は目に見えない世界がちゃんとあって、もっとも簡単で、単純な方法で、僕たちの体、
世界とつながっているんだろうな。と実感させられます。

そしてあまりにも複雑に、あまりにも混沌として、破滅と自滅へ加速しながら進んでいる
今の世界に救いの道があるのだとしたら、それはきっと、それぞれの人が、そのような
見えない世界への扉を自分で開けていくことなんだろう。と思います。

見えない世界を信じたり、意識することはなかなか難しいですよね。
多分、迷路で迷子になっている様子を、上から見ていたら、簡単に答えが出ているように、
そっちの世界で暮らす人から見たら、なんでこんな簡単なことをが解らないんだろう。
と思うんでしょうね。

かく言う僕も、まだまだ全然。。
見えるもの、聞こえるもの、表面的なもので判断して、すぐに反応してしまいます。
フーチングの丸い石、僕も欲しいなぁ。

そうじゃないって?


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3/5 ”流行ってるもの”

さて、今すご〜く流行っているものは?
テレビでもラジオでも頻繁にこの言葉が聞こえてきます。

AKB?
そうそう、篠田麻理子が可愛いですね〜。

違〜う!AKBじゃない。

きゃりーぱみゅぱみゅ?
そうそう、あの単純で繰り返しの曲が知らぬ間に口ずさんでしまうんですよね〜。

ちが〜う。きゃりーぱみゅぱみゅでもない。
何者?「ぱみゅぱみゅ」って言えないし…。。

塩麹(しおこうじ)!
塩麹、流行ってますね。そこら中で耳にします。
僕の母親は流行にすぐに乗せられちゃう。
実家にはいろんな健康グッズや、一昔前、テレビでみのもんたが
「おくさん、これ良いですよ〜。」なんていうと、しばらくそればっかり。
ココアや、カスピ海ヨーグルトなどなど。

昨年の年末、実家に帰った時、出てくる料理、出てくる料理、なんでも塩麹。
生野菜、ゆで野菜、ゆで卵、肉料理にも。確かに美味しいけど。

今も実家から荷物が届いたと思ったら、塩麹がいっぱい。
以前のつむ通、”思い出の父の味”で書きましたが、僕は父が作る甘酒が大好き。
本当に美味しくて、懐かしくて、心も体もあったまる味。
塩麹も作り方は甘酒とほとんど同じらしく、見た目も全く甘酒と同じ。
段ボールを開けて、「やったぁ。甘酒だ!」と喜ぶのもつかの間。
一緒に入っている手紙を読むと、「塩麹は健康に良いので、これで寒い冬を
乗り切って下さい。」
うん、美味しいんだけど、こんなにいっぱい?

というわけで、我が家でも塩麹が流行ってる?
流行ってるのとはちょっと違うんだけど、漬け物にしたりして食べてます。
塩麹で漬けた生野菜、ほんと、美味しいんですよ。

でも、たまに電話で母に「何か送って欲しいものある?」と聞かれると、
思わず言ってしまいます。
「塩麹はまだいっぱいあるから、甘酒送って。」

それにしても日本人は不思議な食べ物を作りますね。
甘酒も、塩麹も、外国人から見たらかなり微妙な食べ物だと思うんじゃないかな?

まあ、僕から見ると、キャリーぱみゅぱみゅはかなり微妙ですが…。。




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2/29 ”考古学はロマン?”

今日で2月も終わりですね。相変わらず時間が経つのが速いものです。

今年の大雪で、道路の脇には3メートルくらいの壁が出来ています。
排雪車が入ると、綺麗に垂直の壁になります。

先日、ノンノ(北海道犬♀)を連れて散歩していると、雪壁の中間くらいに
何やら黒っぽい塊を発見。
ん〜?と近寄って見てみると、
「やっぱり。」

降り積もった雪を垂直に削っているので、地層のように、水平方向に
微妙なラインが続いています。
どっさり雪が降ったところは同じ色の太いライン。しばらく雪が降らなかった時は、
ちょっと汚れが混じった氷っぽいライン、などなど。

そんな地層のような雪層(?)の中間に黒い塊。
食事中の方は申し訳ありません。
そう、ノンノのウンコ。

じっくり分析すると、
「ああ、あの大雪の次の日の朝の散歩の時のものだな?」
なんて解るんです。

まるで考古学者になったみたい。

「雪の層が厚くなったり、薄くなったりしてるから、この日は猛吹雪だな?
こんな日にも犬はウンコをするんだ。これは歴史を覆す大発見だ!」
なんてバカなことをしながら散歩。

早稲田大学の吉村教授が昔、テレビで言ってました。
「考古学はロマンだ。」って。

その意味がほんの少し解ったような気がします。
まあ、発見物が”ウンコ”じゃ、ロマンも”クソ”もないのですが…。。

すみません、汚い言葉の連続で。
「国語学が不満(不足していること)」なので…。


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気付いてもらえたでしょうか?

「考古学はロマン」と、「国語学が不満」をかけたのですが…。。

解説しているようじゃ、まだまだですね〜。


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2/24 ”この家具、欲しい〜!”

この写真、新しいショールームを作りました!

冗談です。すみません…。。
工房の体育館で完成した家具たちは、汚れないように、ステージの上に乗せて、
カーテンを閉めて保管しています。
ここで亜麻仁油が乾くのを待って、お客様のところへ納品となります。

旅する木で使う亜麻仁油は、地元当別のしかも、まさにここ、東裏で栽培されたの亜麻の
種を絞ったものを家具に擦り込んでいます。
この亜麻との出会いは本当に奇跡のような偶然で、ここ、東裏小学校に工房を移転して、
最高に良かったことの一つです。

「植物から抽出したオイルは安全」と言われていますが、実はそんなことはないのです。
すごい安全だと言われてよく使われている、リボスとか、オスモも主成分は亜麻仁油。
亜麻仁油だけだと乾きが遅いので、コバルトという乾燥促進剤が入っています。
これが有害物質を出します。
敏感な赤ちゃんや、化学物質過敏症の方には、これらのオイルは決して使えません。

旅する木で使っている亜麻仁油には、まさか乾燥促進剤など入れるわけがありませんし、
さらに東裏産の亜麻は、サプリメントとして栽培されているものなので、なんと、
無農薬栽培。これ以上安全なオイルは世界中探しても絶対にありません。

その代わり、亜麻仁油は本当に乾きが遅い。2、3週間経っても上に紙を乗せると
じんわり油染みができます。それをたった一晩で乾くようにしてしまうんだから、
「乾燥促進剤って、どれだけのものよ!」と実感します。

一般の家具屋さんや、メーカーは、家具が完成したらどんどん出荷したいですよね。
2週間も乾かないようじゃ、乾かすための大きなスペースが必要ですもん。
家具は次々と出来上がってくるんですから。
その点、旅する木は、とにかく安全第一。時間第二。「乾かなかったら、乾くまで
待ってもらえばいいじゃない。」という考え。そして「それを理解してくれる人に
家具をご提供していけばいい。」

なので、いつのまにかステージの上は家具でいっぱいになっちゃう。
普段、カーテンを閉めているので、たまにカーテンを開けて並んでいる家具たちを見ると、
「うわ〜。すごい!」っとついつい感動してしまう。
この道に足を踏み入れて14年、いまだ家具屋さんになり切れていないのか、もしくは
心底、家具が好きなのか。
自分で自分の作品を見て、感動できるというのは、最高に幸せなことだと思います。
でも、そうでなければ、値段なんて付けられない。
だから僕は本当にお客さんが羨ましい。「この家具、欲しい〜!」って思っちゃう。

よくお客さんに、「ご自宅の家具は全部須田さんが作ったものが揃ってるんですか?」
っと聞かれます。
「…」
なかなか自分のために家具を作らないんですよね。

妻にも言われます。
「暇だったら家の家具作ってよ!」
暇だったら暇で、ショールームの家具を作ったり、カフェを充実させたりして、
お客さんに見てもらえるものについつい意識が向いちゃう。

ということで、今年のカフェのオープンに向けて、ビックリするような家具の製作を検討中。
暇?
暇なわけではないんですけど、毎年来てくれるお客さんをビックリさせたい!
楽しみにしていて下さい。
って、書いてしまったら後に引けないですね〜。乞うご期待!


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2/18 ”デザインについて語ったら大変なことになった Part 2”

2月になっても北海道は寒い真冬日が続いていますね。
それでも気分的にもうすぐやってくる春を意識しはじめ、人の動きが徐々に活発に
なってきた雰囲気がします。
週末にはちらほら、お客さんが家具の相談をしに来てくれます。
まだまだ当別は真冬モードなのに、ありがたいことです。

そうなると僕は、昼間はご注文頂いている家具の製作、夜と早朝はご相談頂いた
お客様の家具のお見積もりや、デザインを起こす作業をします。

”デザイン”

僕は家具をデザインする作業にはともすると、その家具の製作より時間をかけています。
天才じゃないのでなかなか浮かんでこない。「これ!」というものが。

建築図面、部屋の雰囲気、お客さんの雰囲気、家族で会話している様子、
ライフスタイル等々、いろんな事を考えながら
スケッチブックにラフスケッチを
書きなぐったり、寝転んだり、トイレに立てこもったり、ノンノの散歩に行ったり、
時には、いや結構昼間、家具の製作の合間に考えたりもします。
そうすると、ストンっと降りてきてくれるんです。「これ行けるかも!」ってものが。
ここまでの作業は結構辛い。悶々としています。
だって、いつ降りてきてくれるか解らないんだから。

そうして降りてきてくれたものを元に、またスケッチブックに描く。
角度や曲線のラインや、構造や、木目などなど考えながら”美しさ”の演出。
ここまでくると楽しい作業。

そして良さそうな感じになったら、パソコンで図面にする。
微妙な角度や、曲線のライン、全体のバランスなどは図面を何個も描いて、比べて確認。

一つの作品のデザインを起こすのに、ざっとこれだけの手間をかけます。
ここまでは”家具デザイナー 須田修司”の仕事。

ここまできてから初めて加工方法を考える。そして、
「あ〜、めんどくせ〜。こんなデザインしなければ良かった。」と後悔する。
でも、だからといってデザインを変えることはしません。なんとか加工方法を考える。
治具を考えたり、刃物の形状を考えたり…。
ここからは”家具職人 須田修司”の仕事。

僕はこの二役をはっきり分けるように意識しています。
家具デザイナーの蝦名紀之氏との会話から、そのようにしています。
修行時代、蝦名さんのデザインした家具を多く製作していたので、蝦名さんとの面白い
逸話はいっぱいあります。

蝦名さん、とりあえず性格は置いておいて、家具のデザインに関しては天才的。
蝦名さんのデザインする家具は、歩留まりが悪い(捨てる材料が多い)し、
複雑な加工が多くて大変なのです。そのことをチラッと言うと、
「俺はデザイナーだから加工のことは考えない。それを考えるのが君たちの仕事だろ?
デザイナーが作り方を知ってしまったら、簡素なデザインになってしまう。」っと。

確かに。
蝦名さんのデザインする家具は、僕がその家具のデザイナーが蝦名さんということを
知らなくても、蝦名さんだろうな。っと感じることができる、独特のラインを持っています。
それって、すごいことだと思います。

さらに今度は家具職人の立場からデザインの話し。
僕がまだ職業訓練校の学生だった時、尊敬する家具職人の方が、
「デザイナーと家具作家の違いって解る?
デザイナーは引き算。家具作家は足し算。
できるだけ余計なものを省いていって、残ったものの中で美しさを表現するのがデザイナー。
それに対して、こんなことも、あんなことも出来ます。と自分の技を見せたくなるのが
家具作家。」

なるほど〜。っと、心に残った言葉です。
この一流のデザイナーと家具職人との会話は、いまだに僕が家具のデザインをする時の
指針になっています。

その他、職訓の時作った椅子が、飛騨高山のコンペで入賞した時、僕以外は東大とか、
千葉大とか、一流の教授にデザインを教わっている学生で、彼らとお酒を飲んだ時、
いろいろとデザインの考え方や、授業の話しを教えてもらって、それも役に立っています。

そんな感じで、僕自身は特に誰にデザインを教わったということはないのですが、いろんな人
との出会いや会話から、自分なりに”デザイン”というものを考えています。

そんな我流の僕が偉そうなことは言えないのですが、独立して、自分のデザインする家具を
お客様に提供するということを職業にした時から今も、ずっと意識していることは、
”デザイン”と”ファッション”の違い。
世間的や、言葉の意味は間違っているかもしれませんが、僕の中では、

”世代を超えるものがデザイン。超えられないものはファッション。”

他分野のことはよく解りませんが、建築と家具に関しては、そこそこ見る目が出来てきたと
思っています。そして、ファッションの方が圧倒的に多い。

その建物、その家具を子供が、孫が大事に使うことを想像できるかどうか?
その頃、それらはどうなっているのか?ボロくなっているのか、深くなっているのか。
そのものが、そこまで考慮され、製作されているものなのかどうか?
そして、そのものがあることにより、そこで生活する人の意識を変える力を持っているのか?

そんなことまで考えていたら、そうそうポンポン浮かんでくるものではないんですね。
だからデザインを起こす作業は、製作より時間がかかる。

僕がデザインし、作った家具を、お客さんの子供や孫が、
「これ、おやじ(おじいちゃん)の代から使ってるんだけど、修理できる?」
なんてどこかの家具屋さんに修理を頼んでもらえるような、そんな家具をデザインしたい。
『世代を超える家具』を…。

デザインについて語ったら、こんなに長くなってしまった。そういえば以前もつむ通で
デザインについて語ったら大変なことになった記憶が…。。
最後まで読んで頂いてありがとうございます!


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2/14 ”旅する木でお餅つき”

 

先週の土曜日、旅する木に木工家、家具職人、デザイナーなどが集まって、
お餅つき大会&交流会を行いました。

お餅つき?今さら?って!
そうなんです。2月も半ばに差し掛かって今さらですが、つきたてお餅を
食べたくなっちゃったんだから。
せっかくお餅つきをやるのに、僕と山口君の二人じゃ面白くない。それじゃあ、
知り合いの家具仲間みんなに声をかけて、交流会と称して人を集めて、
どさくさ紛れにお餅つきをやっちゃおう!っと企画しました。

前の日から準備。
「参加希望者十数名だったら何キロの餅米を用意ればいいんだろう?」
地元の農家の方に聞いたりして、10キロの餅米を一晩水に浸しました。
妻がお汁粉用のあずきを煮込んだり、ホーマックに3段の蒸かし器を買いに
行ったり、かなり気合いが入っていました。

次の日、水に浸した餅米を見てビックリ!
水を吸って、すごい量になってる。水に浸してしまった以上、なんとしても
ついてしまわなきゃ…。。

午後からチエモクさんグループや、黒松内でやっているPatの岡田さん、大御所の
高橋三太郎さん、デザイナーの中村昇さん、芸森の澤口さん、旭川から後輩の
Gauzy Calm Worksの亮三一味、古き良き仲間のコサインの工場長の信さん、
将来が楽しみな辻亜希ちゃん、独立したての北風Worksの梅原さんなど、札幌や、
遠方から仲間が続々と来てくれました。

僕はみんなと面識があるのですが、それぞれ初対面の人どうしもいて、名刺交換
から始まったのですが、みんな木が好き、家具が好き、そして家具作りに命を
懸けている人達なので、すぐに打ち解けて、かけ声を掛けながらお餅をついたり、
お話しをしたり。
嬉しかったのが、輪のあちこちで大笑いの声が体育館に響いていたこと。

木工仲間が集まると、いつも思うんです。
木工という職業を選び、技術を磨き、独立して頑張っている人達は、
人生に一生懸命で、自分に正直。そりゃ、お金は稼ぎたい。稼ぎたいけど、
本当に豊かな人生とは、お金を稼ぐことではないことを理解している。
だからたまにワイワイ一緒の時を過ごすと、本当に楽しく、刺激をもらって、
明日への活力になる。「また頑張るぞ〜!」って。

家具作りという職業は、ついつい内側へ、孤独の世界へ入り込んで行ってしまう。
また、それに耐えられる人でなければ、続けられないとも思う。
だからこそ、こういう時間が大切なんだと思う。
同じ悩みや、苦しみ、そして同じ楽しみや喜びを共有できる仲間たちとの心を開いた時間を。

「こんな楽しいことを企画をしてくれてありがとう。」って言われるけど、
なんてことはない。実は自分のために企画しているんです。だから、
「参加してくれて本当にありがとう。」なんです。
楽しく、充実して、有意義な時間をありがとう。

ただ、一つ失敗だったのは…。。

そう、餅米10キロを水に浸したこと。
お腹いっぱい食べて、全員にお土産のお餅も用意したのに、半分くらい突き切れなかった
餅米が鍋の中に…。

次の日、日曜日、猛吹雪。
残った餅米を5臼、山口君と二人でつきました。

そう言えば、”二人でお餅ついたって楽しくない。”ってところからこの企画を計画したのに…。。



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2/10 ”春になったら…”

昨日、当別は史上最強(僕にとっては)の猛吹雪でした。
自宅から工房の小学校まで、ほんの100メートルくらいの距離なのに、
遭難するんじゃないかと恐くなるくらい。
真っ向逆風なので、目を開けられない。かろうじて横の雪壁を見ながら歩いて、
玄関に着いた時には全身真っ白の雪だるま状態。
吹雪が収まった後、外に出て見ると、高さ1メートル、長さ20メートルほどの
山脈の様な稜線を持った吹きだまりが出来ていました(上の写真)。

毎朝札幌から車で通っている山口君は、なんと、工房まで後3キロのところで
吹きだまりにはまってしまい、電話が来たのですが、とても助けになんて
いけません。
除雪センターに電話をしたら、除雪作業車も身動きできなくて、吹雪収まるのを
待ってから出動するので、いつになるのか解らない。と言われたそうです。
なんと救助を待つこと、6時間。除雪車が来て救出されたのは午後2時。
工房の前に道はその時でもまだ除雪が入っていなかったので、昨日はそのまま
帰ってもらいました。

テレビでやってましたけど、この冬の異常な積雪や、異常な寒波は、日本だけでなく、
世界中で起こっているんだとか。
僕が購読している本に書いてあったのですが、地球温暖化というのは短期で捉えた
現象で、長いサイクルでみると、地球は氷河期に向かっているんだそうです。
地球はこれからだんだん冷えていくそうです。
ということは今年のこの異常な気候が、これから通常になってしまうのでは…?
なんてことを考えるとちょっと憂鬱になってしまいます。

それでも2月に入って、春に向けて人の動きが少しずつ活発になってきた気配を感じます。
こんな雪深い工房にも、週末になるとお客さんが来てくれます。
ちょっと気温が緩んで、晴天の日には、久しぶりに小鳥のさえずりが聞こえて、鳥たちも
春の気配を感じて、喜んでいるようです。
人も、動物も、木々たちも、北国で生活するすべての生き物が、春を待ちわびています。

”春になったら”という響き、なんとワクワクして心躍ることか。
「春になったらあれしよう!」
「春になったらあそこ行こう!」
「春になったらあれ食べよう!」
「春になったら…」

”春”という言葉だけでいろんな事を想像し、幸せな気持ちになれるこの冬の厳しさは、
それはそれで大事なのかも知れませんね。

「春になったら仕事しよう!」

おっと、それはダメでしょう。



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2/2 ”そっち?”

毎度毎度雪の話しで申し訳ありません。
でも見て下さい。小学校の入口の屋根の積雪はこんななんです。
軽く僕の背丈を超えています。
僕の身長が185センチなので、2メートルを越えていますね。

え?!ウソだろう。って?

まあまあ。でも、積雪の2メートルはホント。昨日、今日と、屋根の雪下ろしでヘトヘト。

ところで身長の話し。

僕は腕の良い家具職人で大型の人をほとんど知りません。
せいぜい170前後。僕の家具仲間が集まると、大抵170センチ以下の人が多いんです。
ひと昔前ならいざ知らず、今では集まった仲間のほとんどが170センチ以下って
あまりないですよね。

修行していた会社の社長がよく口にしていました。
「家具職人はこまいのが良い。」って。
なんででしょうね。すばしっこく見えるから?細かい仕事だから?
う〜ん、確かに、大型でプロレスラーみたいな人は器用そうには見えないですよね。

僕の身長?まあまあ。

「まええ〜、ならえ!」
おっと、やめて下さいよ。反射的に両手を腰に持ってっちゃったじゃないですか?
小学校、中学校と整列で”まええ、ならえ!”の時、僕はいつもこの格好でしたから。
いいでしょ?なんてったって、クラスで一人しかこの格好出来る人いないんだから。

そういえば結婚式の打ち合わせで衣装合わせの時…。

女の人はいろんな衣装を試着して、ああだ、こうだ時間をかけてやりますよね。
妻の時もそうでした。
(どっちだっていいよ。)と思いががら、「いいね。似合うよ。」とやってるわけです。
結婚式のメインは新婦ですからね。
価格に関しても、「これはセット価格に含まれていないので、ちょっとお高くなりますが。」
なんて言われると、今なら「じゃあ止めとこう。」の一言ですが、これから結婚しよう。
って時なもんですから、「お金の事は心配しないでいいよ。一生に一回のことだから。」
なんてカッコつけちゃうんですよ。
式場の人も、妻には真剣に「素敵ですねぇ。こちらはどうでしょうか?」とかやってるのに、
僕の時は「新郎さんはこれでいいですね。こっちの方がお安いですし。」終わり。
まあまあ、結婚式のメインはあくまで新婦ですからね。

ところが靴選びの時に限って。

「新婦さんに合わせて新郎さんのは一番高いのにしますか?」

「…? いやいや、高いやつじゃなくたっていいですよ。安いやつで。」

「バランス的に高い方がいいと思いますけど。」

「ちなみにどれくらいですか?」

「9センチくらいですかね〜。」

…!! そっち?



結婚式当日、レーザー光線を浴びながら、せり上がってきたゴンドラに立っていた僕の身長は
173センチでした…。。


「…? いやいや、20年近く前の田舎では、そういう結婚式が流行ってたんだって!
ウケたのって、
そっち?



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1/26 ”天国と地獄”

ここのところ日本中、寒波に襲われていますね。
東京では4センチの積雪で、通勤途中の人がスッテンコロリンしている映像がニュースで
やっています。
娘は「なんで?走れるじゃん。」と不思議そう。
道産子の娘や息子にしてみたら、不思議でしょうね。
何てったって今年、ここ当別は総積雪量6メートルを越えてるんですから。
工房も埋まってしまいそうです…。。

雪もすごいけど、寒い!今日も早朝の気温はマイナス23℃。
ここまでくると寒いというより痛い。

この前のつむ通で書いたように、最近ノンノ(アイヌ犬)を家の中に入れているので、
早朝、オシッコをさせに連れ出します。面倒だし、まあすぐにするだろう。っと、
寝間着のまま外に出ると、ノンノがちっともオシッコせずに、散歩を楽しもうとする時が
あるんです。しかも極寒の日に限って。
そんな時はも〜、腹が立つ。
「お前は毛皮を着てるからいいけど、こっちはほぼ下着なんだぞ!」って。
マイナス20℃を越えた中、下着姿での散歩は命がけですから。毛穴一つひとつに
寒さの剣が突き刺さるって感じ。
まあ、ノンノにしてみれば、「服、来てこうよ!」っと言いたいと思いますが…。。

それでも、気温が低い日の夜は星がものすごく綺麗。朝もダイヤモンドダストが
キラキラしていて、耳を澄ませば「キラキラキラ」って聞こえてきそうな美しさ。
厳しさと美しいさはいつも表裏一体なんですね。

もちろん、工房の体育館も極寒。薪ストーブだけではそこから離れされず一日終わって
しまうので、暖房を炊いているのですが、ちっとも暖かくならない。
天井が高いし、窓は隙間だらけだし、南側に窓がないので日が当たらないし…。

いつもボンドを届けてくれる塗料屋さんの営業マンがいます。
うちに来るついでに月形(隣町)にある刑務所も回っているんです。そう。刑務所の中に
木工所があって、受刑者が家具を作っているんです。

話しを聞くと、大きな建物で、集中暖房が完備されていてポカポカ。集塵設備もバッチリで
「仕事してるのか?」ってくらいゴミ一つなく、機械設備も全部新品で揃えてあって、
消耗品のストックも2サイクル分は常に完備されているんですって。

その営業マンがいつも言うんです。

「ここは地獄ですね〜。刑務所は天国ですよ〜。」



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1/21 ”今年のテーマ”

今年、当別から岩見沢にかけて、記録的な豪雪に襲われています。
毎日何十センチもの雪で、道路脇は2メートル以上雪が積み上げられています。
毎朝本の上の雪をほろってあげている二ノ宮金次郎も、先日、全国ニュースになった
大雪で、とうとう頭まで埋まってしまいました…。。
近いうちに救出してあげなきゃ。

そして、寒さも。連日最高気温が氷点下の真冬日が続いています。
昨年の初冬の予報では、この冬は暖冬だ。って言ってたのに…。。

ところで『たびもっくんが今日も行く』のコーナーでも度々登場する愛犬ノンノ。
アイヌ犬なんです。
アイヌ犬は、野性味が残っていて気性が荒く、犬評会では、檻の中に熊がいて、
近くに連れて行って果敢に吠えて飛びかかろうとするかどうかの審査があるんです。
うちの娘(ノンノ)は結構気が強く、吠えるんですね。
どういう訳か、僕のまわりには、気の強い女性が集まる傾向がありまして、困っています…。。

アイヌ犬は飼い主にしかなつかないらしいのですが、ノンノは人が大好き。
毎日工房に連れて来て、勝手に遊ばせているのですが、お客さんや業者の人が体育館に
入ってくると、猛ダッシュで飛びかかっちゃう。
噛むことはないのですが、「遊んで!遊んで!」と飛びかかったり、寝転んだり。
中型犬なので、人によっては恐いですよね〜。
毎日荷物を届けてくれる佐川急便の運転手さんは犬が苦手らしく、最近は荷物をこっそり
入口の所に置いていきます。

そんなノンノですが、この大雪で僕の手作りの小屋がすっかり雪の中に埋もれてしまいました。
なので、仕方なく、昼間は工房、夜は家の中に入れています。
5歳の息子は大喜びで、なめられまくっています。寂しがり屋のノンノも大喜びで、
部屋中をウロウロしています。

面倒なのはトイレ。生まれてすぐの頃から工房へ連れてきていて、躾けたので、部屋の中では
せずに、おしっこやウンコをしたくなると、僕に教えてくれます。
そうすると、作業中でも、食事中でも、寝ている夜でも外に連れて行かなきゃいけない。
タイミングによっては、「さっき散歩の時してくれよ〜。」とか、「今、手が離せないから
もうちょっと待ってくれよ。」ということがしばしば。
でも、我慢しているような辛そうな声で「ク〜ン、ク〜ン」とやられると可哀想で
「わかった、わかった。」と言って寒い外に連れて行くのです。
妻は「世話の焼ける子供が増えた。」と手を焼いています。

動物と子供には、”今”しかないんですね。いつでも”今”を生きている。
今、あれをしたい。今、食べたい。今、撫でて欲しい。今、遊びたい。今、…。。
過去も未来もない。あるのは”今”だけ。
それに引き換え、僕ら大人はいつも過去や、未来ばかり見て、一番大事な”今”を
ないがしろにしている。

あの時こうしておけば…。こうしてたらどうなっていただろう?
将来、こうならない為にこうしよう。もしかしたらこうなるかも知れないから、
今のうちにこうしておこう。などなど。
今更変えようもない過去を後悔したり、起こってもいない事を心配して、不安になったり。

子供や動物が、”今”を精一杯楽しんでいる姿に、時々ハッと気付かされます。
大事な事は”今”を楽しむ事。
もちろんそれだけでは生きられない。過去を悔い、より良い未来を築こうとする事は、
僕ら人間に与えられた特権で、それは素晴らしさとそして、そこから逃れられない
つまらなさも秘めています。

言える事は、楽しい”今”の積み重ねが、つまりは楽しい”人生”なんだと思います。
それは楽をするということではなく、楽しいと思えることをいつもしていたい。
さらには、どんな状況も楽しむ、というところまで心を広げられたら、
楽しくて、素晴らしい人生になるんだろう。

”楽しい今”をどれだけ過ごすことが出来るか。
これが今年の僕の、そして旅する木のテーマなんです。

ということで、今年は仕事もそこそこに…??、
ダメダメ、精一杯楽しく、目一杯仕事をしながら、さらにいろんな楽しいイベントを
やっていきたいと思っています。
皆さん是非遊びに来て下さ〜い♪って、まだ企画中なのですが…。。

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1/14 ”三鷹の森美術館”

今年当別は雪が多くて、毎朝恐る恐るカーテンを開けて外を見ると、
こんもり雪が積もっていて、うんざりします。
窓からの景色は、綺麗なんですけどね〜。
生活しなければならないもので。

ところで、早く書きたい!と思いながら、札幌のある高校のそれぞれの教室のロッカーの
取り付けでバタバタしていて、あっという間に時が流れてしまいました。
昨日完了し、検査して頂き、「見違えるように綺麗になりました。」と言われ、
ホッとして、やっと落ち着いてPCに向かっています。

年始に長野の実家に帰ったとき、東京で三鷹の森美術館に行ってきました。
実は実家よりこっちが本命の目的だったりして…。。

2回目なのですが、やっぱり楽しかったぁ。
我が家は圧倒的にディズニーランドよりこっち派。
「どうですか〜?楽しいですか?こんなのもありますよ〜。」という押し付けがましさがなく、
「楽しみたい方はどうぞ自由に楽しんでいって下さい。」という感じがとても好きです。

迷子になるように設計された建物で、子供たちと「よ〜し、次はあそこで会おう。どっちが早く
行けるか競争だ!」と言って、それぞれ反対方向からアタックしたりして、一日遊びました。

大きな”ねこバス”は子供たちだけの遊び場。これは羨ましい。
でも、子供たちが「キャーキャー」言って飛んだり跳ねたりしている姿に圧倒されて、
息子は入ろうとしない。
おいおい、子供だってだけで手に入れる事のできるこの特権をみすみす手放すのかい!
「ねこバスだよ。子供しか入れないんだよ。ふかふかだよ。」と、つい声が大きくなり、
係員の人に、「お父さん、またお子様がその気になったら来て下さい。」と笑われてしまいました。

僕ら夫婦はいつでもどこに行っても、旅する木や、カフェで活かせるアイデアないかな?
と無意識のうちに探してしまいます。
ワクワクで溢れた三鷹の森美術館は、アイデアの宝庫。
実現できるかどうかは別として、そんな事を妄想しながら過ごしていると、何倍も楽しめるのです。
あんな事もこんな事も今年やってみたい!と心が充電出来た一日でした。

先ずは工房の入口に、何メートルもあるラピュタのロボットを木で作ろうかな。
って、それ!?


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1/6 ”故郷に思ふ”

いよいよ今日から仕事始めです。
今年も皆様に喜んでもらえるよう、精一杯心を込めて仕事をしていこうと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

この年末年始は、何年振りですかね〜?僕の実家の長野に家族で帰省しました。
両親は久しぶりに会う孫の成長に、驚きながらも、とても喜んでいました。
両親は2、3年に一度くらい、北海道に来るのですが、僕らが長野に行くのは
ホント、10年振り。甥っ子の成長に僕も驚いてしまいました。

実家に着くなり、散歩したくなり、家族で僕の通った小学校や中学校まで歩きました。
え〜!こんなところに?という大きなショッピングモールが出来ていたかと思うと、
絶対に無くなっているだろう。と思っていた、毎日買い物に行かされたお豆腐屋さんが
いまだ健在だったりと、新鮮さと懐かしさを感じながら歩きました。

随分遠いと思っていたのに、大人になって歩くと、こんなに近かったんですね。
もっとも、小学生の頃は、まともに道など歩かずに、秘密の裏道ばっかりだったから?

もうほとんど稼動していない父の工場に入ると、懐かしい鉄と油の匂い。
「夕飯できたよ〜!」と呼びに行くのが小学生のころの僕の役目。
しばらくして真っ黒の手で父が入ってくると、この匂いがしたものでした。

母は、「家族で来たら、随分お金かかったんじゃない?」と、わずかな年金で生活
しているのに、僕にお小遣いをくれました。
「いらないよ。子供じゃないんだから。」
「いつまで経ったって、息子は息子なんだから。」
なんていう押し問答があった末、もらったフリをして、いつか母が見つけるだろう場所に
コッソリ置いてきました。

孫たちはそれぞれに、おもちゃや洋服を買ってもらいました。
買った方も、買ってもらった方もとても嬉しそうでした。

さすがに老いを隠せない両親に、いずれ訪れる最後の時が、遥か遠い彼方ではないことを
ぼんやりと感じ、すこし胸が痛くなりました。
両親自身もそれを解っていて、
”美しい行き方”を意識しているようでした。
そしてそれは、”正しい生き方”を教えてくれているようでもありました。

別れの時、東京行きの特急あずさが動き始めると、ホームの向こうで母が涙を流していました。
久しぶりの実家、家族揃ってのお正月、楽しさと懐かしさだけでない、言葉にならない
重みというか、一つの覚悟みたいなものを心の奥の引き出しにそっとしまいました。

猫背の歩き方、なかなか次の言葉が出て来なくて、小声で「え〜」とか、「あ〜」とか
いう喋り方、娘に、「ジイジ、パパにそっくり。」と言われました。
「パパがジイジに似て来たの。この頃ホント似てきた。」と妻。

そうかぁ、俺もあんな風にくどくなるんだぁ…。。


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12/31 ”絆”

大きな衝撃のあった今年を表す言葉は、”絆”でしたね。
言葉を失った3.11の映像が年の瀬に、また何度も放映されていますが、
その今年を表す言葉が”絆”であることに、勇気をもらえます。

昨日、工房の大掃除をして、仕事納めでした。
今日から休みなのですが、やっぱり一日一回は工房に顔を出さなければ
何となく気持ちが落ち着かなく、今日も工房に行きました。

張りつめた冷たい空気と、シーンとした工房は、何だかある種の緊張感があって、
とても心地良い空間です。
だんだんと増えてきた機械たちが、僕を見ているような不思議な感覚になります。

「随分コキ使ってくれたなぁ。」と言っている機械もあれば、
「もっと使ってくれよ〜。」と言っている機械もあるような気がします。

一年間お世話になった機械たち一台一台に、「ありがとう。」とお礼を言いました。


毎朝工房に入ると真っ先に神棚に向かってお祈りをします。
神棚のおふだの横には、今年の始めに北海道神宮で買ったお神酒が置いてあって、
今日はそのお神酒を工房や、材料置き場や、玄関や、ショールームや、トイレなど、
いろんな所にちょっとずつ撒いて、「ありがとうございました。」とお礼を言いました。
子供の頃、精密機械の町工場をやっていた父も同じことをやっていましたね。
父の後についてやっていたような記憶があります。

今日、ポストを覗くと、一通の手紙が入っていました。
先日お電話を頂いた、福井県にお住まいの和紙職人で、独立を考えている女性の方からでした。
年末年始に工房へ来たい。ということでしたが、あいにく留守にするので、
電話でいろんな話しをしました。

自分の経験から思うことをちょこっとお話しただけなのですが、
「今後の支えとなるような、力強い言葉を頂き、本当に胸がいっぱいになりました。」と、
”和紙の大様”と呼ばれている、バリッとした上品な光沢のある和紙数枚に、
わざわざお礼の内容のお手紙をビッシリと書いてくれていました。

些細なご縁からお電話を頂き、些細な僕の体験談から何かを感じてくれて、
前に進む勇気が沸いたということは、とても嬉しく思います。
この年の瀬に僕自身、初心と勇気をもらいました。


今年もたくさんの素晴らしい出会いを頂きました。
一つひとつ、喜んでもらえるよう、精一杯の心を込めて、家具を製作させてもらいました。
「お客様を喜ばせたい。」と思って毎日家具作りをしている僕ですが、納品の時、
喜んでくれているお客様の顔や、言葉から、その何倍も喜ばせてもらっているのは、
紛れもなく僕自身です。
たくさんの幸せを頂きました。本当にありがとうございました。


出会いは奇跡。
そして人生は素晴らしい奇跡で満ちている。
僕らは細く些細な奇跡の糸を紡ぎながら生きている。
この素晴らしい奇跡に感謝しながら、
細く些細な奇跡を、”喜び”で紡いで、強くしっかりとした”絆”にしていきたい。

静まり返った工房にポツンとたたずんでいると、澄んだ心で満たされるような感覚になります。

一年間、本当にありがとうございました。



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12/26 ”今年もサンタがやってきた”

今年もクリスマス寒波がやってきましたね。
でも、札幌は天気予報が外れて、大荒れにはなりませんでした。

皆さんのところには、サンタさんがやってきましたか?
我が家にはやってきました。

下の息子。5歳。
ただ今ゴーカイジャーに夢中。
ご存知ですか?ゴーカイジャー。日曜日の朝、息子と一緒に見ているのですが、
あからさまな商業戦略なんですよね〜。
レンジャーキーでゴレンジャーを初め、様々な過去の戦隊ヒーローに変身できて、
毎週色んな昔の戦隊ヒーロが出てくるので、子供たち、そして、自分が昔、夢中になっていた
大人たちも、集めたくなっちゃうんですね。
さらにたたみかけて、クリスマスが近くなったら、合体できる新キャラクターが出現。
いかにも子供たちが欲しくなりそうなものが。
いろいろ出てくると困っちゃいます。

何が困っちゃうって、クリスマスが近くなると、この手のキャラクター商品は
売り切れになっちゃうんです。
何度我が家では、「サンタさんが世界中の子供たちにプレゼント渡すのに時間がかかってて、
うちは来週になるって。」とごまかしたことか。

なので、11月末〜12月初めくらいにさり気なく希望を聞いて、妻が買いに行くのです。
でも、そのころ、新キャラが登場したり、過去のものが出現したりするので、欲しいものが
コロコロ変わるんです。
プレゼントを買ってからほぼ1
ヶ月、様々に変わる欲しいものを、クリスマスの直前までに
あの手、この手で、何とか買ったものに帳尻を合わさなきゃいけないんです。

そして今年は妻にも。

”ペンダントの希望”で製作したのがこれ。
いろんな樹種を重ね合わせて、削り出したもの。
綺麗でしょ〜!
ケヤキの神代(じんだい)や、唯一水に沈む樹種の黒檀、今や輸入禁止制限ですごく高価な
ローズウッドなど、神秘なパワーを持った樹種を集めた、まさにパワーペンダント。
何だかアイヌデザインや、インディアン系の雰囲気もあって、僕はとっても気に入っています。
そのパワーにちょっとたじろいつつも、妻も喜んでくれました。

ラピュタの飛行石に負けないこのパワー!

リーテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリール」

「お〜!光ったぞ〜。光が工房をさしている!!」

なんちゃって…。。

『滅びの言葉』は?

だめだめ、それは口にしちゃダメよ。

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12/19 ”今日が人生最後の日だとしたら”

いよいよ今年も残すところ10日になりましたね。
本当に”光陰矢の如し”という感じです。

年末に差しかかって、”命”を考えさせられる出来事が起こりました。
僕がここ、東裏小学校を工房にする際に、力を貸してくれて、
こっちに来てからも、とてもお世話になったNさんが、癌で亡くなりました。
お見舞いに行ったのですが、二度目は「悲しくなるから。」と合わずに
遠くから姿を見るだけでした。

僕らは普段、”死”についてあまり意識することがありません。
そして同じように、”今生きている”、”生かされている”という奇跡に感謝せず、
時間が永遠にあるように思って、大事にしていない。
そんな気がします。
親しい人の”死”が、”限られた時間”を意識させてくれます。

宣告をされていないだけで、僕たちは生まれた瞬間に、神のみぞ知る余命何日、何ヶ月、
何年というタイマーを押され、今こうしている間もカウントダウンが進んでいるんですね。

たまたま先日読んだ記事の中で、こういうタイミングと重なって、心に残ったものがあります。
スティーブ・ジョブズが毎朝鏡に写る自分に向かって問いかけてきた言葉だそうです。

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「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことは私が本当にやりたいこと
だろうか?」
それに対する答えが「ノー」の日が何日も続くと私は
「何かを変える必要がある」と自覚するのです。
君たちのもつ時間は限られている。最も重要なことは、自分自身の心と直感に素直に従い、
勇気を持って行動する事です。
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学生時代に読んで、手帳に書き込んでいた『龍馬がいく』の一説を思い出します。

「人の一生というのは、たかが五十年そこそこである。
いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも
弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的の道中で死ぬべきだ。」

先日、あるパーティーで、日本を代表する家具メーカー、カンディーハウスの創設者であり、
現会長の長原さんとお話しさせて頂きました。
高齢にもかかわらず、新しい夢を持ち、実行されています。
恥ずかしながら、僕も自分の夢や、目的を語り、じっくりと聞いて下さりました。

”自分の時間には限りがある”ことは意識しつつ、ただ、”自分の余命がどれほどか?”
そんなことは天に任せて、”目的に到達するための今日一日を生きたい。

そして、いつ最後の時が来たとしても、その途上でありたい。

人の死を通して、そんなことを考えさせられました。

お世話になったNさんのご冥福をお祈りします。
今こうして、ここ、東裏小学校で、夢を語ったり、追いかける事ができているのは、
地元の方々のお陰だと感謝しています。そしていつもその中にNさんがいました。
本当にありがとうございました。



札幌のすぐ隣の田舎町、田園風景ど真ん中の小学校
〒061-0213 
北海道石狩郡当別町東裏2796-1 旧東裏小学校
Tel 0133-25-5555 / Fax 0133-25-5557
E-mail kagu@tabisuruki.com