『家具工房旅する木』は豊かな「暮らし」、「心」、「時間」をご提案、ご提供します。
つむじ風通信実は、学生の頃シナリオライターになりたくて、新聞社のコンペに出展していました。
箸にも棒にも引っかかりませんでしたが‥
文章を書くのは好きなので、妻のそよかぜ通信とともに、日常でのちょっとした出来事を
載せていこうと思います。なんちゃってシナリオライターにお付き合い下さい。
12/31 ”家具職人の定め”今日は大晦日。
今年も本当にたくさんの家具を製作させて頂き、たくさんの笑顔と喜びの声を頂きました。
本当にありがとうございました。一昨日、仕事納めで最後の納品をし、帰宅した時、
「今年も終わった〜!」と言ったのがいけなかったのか、張りつめていた気持ちが
一気に緩んで、その晩、具合が悪くなり、昨日、今日と寝て過ごしています。今年は一年を通してトップスピードでひたすら仕事をさせてもらったので、
神様が「ゆっくり休みなさい。」と言ってくれていると思って休んでいます。と言っても、どうしてもやらなきゃいけないことが…。。
そう、一年の最後の作業は刃物研ぎ。
職人の命ともいえるカンナの刃を、切れない状態で年をまたがせるわけにはいかないのです。
妻に「カンナの刃、研がなきゃ。」というと、
妻 「そんなの気持ちの問題でしょ。なにもこんな状態で。」
僕 「これは家具職人の定めだから。」ん〜、決まった!と、カッコつけたものの、起き上がるとフラフラ。
それでも工房に刃物を研ぎに行きました。昔、誰かに「良い職人は、良い音を出す。」と言われたことがあります。
刃物を研いでいる時の「シャー、シャー」という音が僕は好きです。
無心になって、宇宙空間に吸い込まれて行くような、そんな感覚になれるんです。
今日もその世界に浸っていると、具合も良くなって来て、気持ちが晴れて来るから不思議です。今朝、メールをチェックすると、今年、家具を納めたお客様から、メールが来ていました。
そこに
「須田さんに出会えたことが、今年一番の宝物になりました。」
という本当に嬉しい一言が書かれていました。家具作りしか取り柄のない僕が、その家具作りを通して、この様な嬉しい出会いを与えられ、
こんなにも喜んでもらえることに、心から感謝すると共に、「この仕事をしていてよかった。」
と実感します。カンナの刃がビシッと研ぎ上がり、道具箱にカンナを仕舞い、これで本当に一年の工房での
作業を終えました。「今年一年、ありがとうございました!」
毎日行っていることなのですが、工房に頭を下げ、カギを閉めました。
今年もお客様に支えられ、一年を過ごすことが出来ました。
『旅する木』は100%オーダで家具を製作しているので、出会いの数だけ家具が産まれます。
今年産まれた家具を振り返ると、一つひとつに思い出と、お客様の笑顔が浮かびます。
一つひとつの笑顔が、次へのエネルギーになって、頑張れます。
2012年、『旅する木』を支えて下さり、本当にありがとうございました。
後数時間で新年を迎えます。
良い年をお迎え下さい。
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『オーロラは、地球の豊かさを象徴する 太陽からのメッセージ』
今年は、札幌は雪が多いですね。先日、あるイベントに参加で札幌に行ったのですが、
しんしんと降り積もっていましたね。
当別はいつものことですが、今年は思い切って、ホイールローダーをレンタルしたので、
除雪が楽です。でも、運転に慣れていないので、モタモタしていて、結局ママさんダンプで
やるのと同じくらい時間がかかってる…。。突然ですが、みなさんは海外へ行くとしたら、どこへ行きたいですか?
僕は、二番がデンマークを含む北欧圏。
北欧の家具が好きなので、それが産み出された歴史や生活を感じてみたいという
思いがあります。そして一番は断突、アラスカ。
星野道夫の世界が大好きで、工房名も星野さんのエッセイ『旅をする木』から取らせてもらったので、
アラスカは絶対に行って見たい。
畏怖するような圧倒的な自然と動物を感じたい。
特にオーロラはこの目で、体で感じてみたいですね。昨日のイベント。
『cafe自給自足』さんで行われた、中垣哲也さんの、オーロラの映像の上映会。
さすが、”オーロラの写真家&メッセンジャー”という日本でただ一人の職業の肩書きを持つ
中垣さんが撮影したオーロラの写真の一コマ一コマを、パラパラ漫画みたいにつなぎ合わせて、
スケール感のある音楽に乗せて流れるオーロラの映像には、時間が経つのも忘れ、入り込んで
しまいました。
僕は元来、人見知りの性格で、自分から好んで人と出会おうとしない方なんです。
出会うべき人とは、出会おうとしなくても出会えるはず。と思っていて、自分から社交場に
出かけて、声をかけて「お友達になりましょう。」というのはとっても苦手。
そんな僕が唯一、facebookでお友達申請したのが、中垣さん。
いつか、いや、来年(決心&宣言)、中垣さんが主催するアラスカサバイバルツアーに参加しよう!
と決めています。家族にもまだ相談していませんが…。。オーロラは太陽から放出されるエネルギーが、地球の磁力に吸収される際に光となって現れる
自然現象で、どちらか一方の力が強くてもダメ。絶妙なバランスの上で、あの美しい
オーロラダンスが見られるんだそうです。日々、仕事と時間に追われ、忙しい毎日を送る中、
でも、時には自分自身畏怖するような、圧倒的スケール感をもつ自然と、悠久の時間の中に
身を委ねたいと思う。
スクリーンの中を踊るオーロラに、心が高揚したけれど、やっぱり暖かい部屋で
椅子に座って、お茶を飲みながら見る平面のオーロラより、極寒の、張り裂けそうな冷たく
静かな空気に包まれて、夜空を見上げながら降ってきそうな本当のオーロラを見てみたいと
強く思いました。中垣さんは言います。
「オーロラは、地球の豊かさを象徴する 太陽からのメッセージなんです。」そのメッセージの大きさや、深さは、受け取る人の心が決めるんだろう。
そして僕は何を感じるんだろう?
中垣さんのHPは → こちら
来年、旅する木で中垣さんのオーロラダンスの上映会を計画したいと思っています。
お楽しみに!
**************************************工房のある当別は、初雪がそのまま根雪になってしまいましたね。
回りは一面真っ白。景色はモノクロの世界に。
作業している体育館での作業は、薪ストーブを焚いても5℃くらいですね。
朝なんて0℃〜2℃とか。
毎年の事ですが、着込んで着込んで、後は我慢です。外はシンシンと雪が降っていて、寒〜い体育館、日が短い北海道は、
午後3時を過ぎると薄暗くなってきます。
そんな中で黙々と作業をしていると、なんとなく心もモノクロになってしまう。
もともと家具作りという仕事は、地味で孤独なものなので…。
可愛い女の子でもいてくれたら、風景に鮮やかな色が着くのですが、無口で無精髭の
山口君(従業員)ではモノクロどころか、グラックホールに吸い込まれるようなもので…(笑)という訳で、旅する木は従業員を募集します!
応募条件は、
・24歳未満の未婚女性。
・仕事も何もしなくて結構。ただ、水着でそこにいてくれれば。
これ、完全に訴えられますね。
希望条件
・目覚まし土曜日の『Top of the World』の鈴木ちなみちゃんのような方。ちなみに…、いや、ダジャレじゃなくて、
毎週土曜日、楽しみに『Top of the World』の鈴木ちなみちゃんを、箸を止めて見ていると、
妻と娘に軽蔑されます。
ついうっかり、「写真集、買って、工房に飾ろうかな?」なんて口を滑らすと、
娘に言われました。
「工房に来る女の人、ドン引きだから。」
旅する木のイメージが悪くなるので、話しを変えましょう。一昨日、昨日と、連夜、お客様のお宅に納品しに行きました。
昼間は切羽詰まっている家具の製作を進めるため、納品や打ち合わせは夜にしてもらっています。
たまたま両方のお客様とも、新築を建てて、それに合わせてダイニングセットを。という依頼で
製作させて頂きました。
せっかく家が建たったのに、数ヶ月もダイニングテーブルや、椅子の無い生活をしてまで、
旅する木の家具を選んで下さって、申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいです。
納品時、家具を搬入し、セッティングすると、
「うわ〜!すご〜い。嬉しい〜。」
「待ってて良かった〜。」
「素敵〜。」
など、とても嬉しい言葉を頂きます。家具作りと言う地味で孤独な仕事を続けていられるのは、この瞬間に立ち合えるから。
モノクロの風景に、パッと明が灯る瞬間。
旅する木は一切のショップに作品を卸していません。
なぜかって。
知らない店員さんが、知らないお客様に僕の作品を売ってもらって、通帳にお金が振り込まれて、
朝、発注書のFAXが来て、製作して、ショップに送って…。収入は安定するのかもしれないけど、これでは僕にとって、明の灯る瞬間がなく、
まったくもってつまらない。
お客様の喜ぶ顔、声を、直接見たい、聞きたい。
だから下請けや、卸しはしないと決めています。納品した帰り道、お客様の喜んだ顔や、かけてくれた言葉、出会った時のことなどを
思い出しながら、幸福感に浸っています。
そんな昨日の帰り道、カーステから聞こえてきたのはミスチル。♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
なんてことのない作業が、回り回り回り回って
今 僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく
そんな確かな生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に・・・
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
12 月に入って、北見に家具の取り付けに行って、帰って来てからすぐ、
千歳のお客様のところにキッチンの取り付け、一昨日、昨日とダイニングセットの納品、
今日は、ちょっと前にキッチンを製作させて頂いたお客様の新築のオープンハウスで
写真撮りをさせてもらうなど、お客様と顔を会わせる機会が多く、僕自身の幸せな瞬間に
立ち合わせてもらっています。そんな明が灯った瞬間、風景の彩りは何色?
特に奥様が本当に喜んで下さっているから…。
やっぱり、♪頬が染まる、温かなピンク♪
・・・
やばい! 女の人はドン引きですね…。。
旅する木の家具で、それを使う家族の暮らしに彩りを添えていきたい。
そんな暮らしを一つ一つ増やしていきたい。
そして、家族の喜ぶ姿を見て、僕の心にも…
♪増やしていく きれいな彩り♪
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たびもっくんで書きましたが、先日まで北見に家具の取り付けに行っていました。
仕事とはいえ、4泊5日の小旅行。
しかもお客様が取ってくれたビジネスホテルは何と、温泉付き♪
これが嬉しくて…。。毎晩、毎朝入ってリフレッシュ。
おっと、勘違いされては困ります。
あくまで仕事なので、キッチリ、休憩もせず、目一杯仕事をして、朝晩の空いた時間を
旅行気分ってことですよ。お客さんといっても友人で、前々から「仕事がちゃんと終わったら、食事しよう!」
と約束していてので、最後の晩、北見の地ビールと、美味しい海の幸や、お肉を頂きました。
ポンと置くだけの家具なら気が楽なのですが、建築が絡む家具ばかりだったので、
ずっと、ホント、製作に入ってからずっと不安と心配な日々を過ごしていたので、
上手く収まった最後の晩は、肩の荷が下りて、飛び跳ねたい気分でした。
とても楽しい時間を過ごす事が出来ました。こんな風に書くと、ポンポンとスムーズに作業が進んだように感じますが、
そうは問屋が卸さない!
ん、、?ちょっと使い方間違ってますかね?
現場仕事はハプニングが付きもの。
今回は久々にちょっとビビるハプニンングが…。。
一番油っこいキッチンの取り付けが以外とスムーズに運び、最後、一番簡単な家具の取り付けで。
安心して、「今日はひょっとしたら午前中で終わっちゃうんじゃないかな?」
なんて山口君と話しをしていると、僕らがやっている作業を現場監督が見てひと言。「ここ、床暖入っているんだけど、大丈夫かな?」
僕「!?…」
聞いてないよ〜。フローリング貼ってあるから見えないし、図面にも書いてないし…。。
床にビスをもんでいたので、ひょっとしたら、床暖房の配管に穴があいちゃったかも?
慌てて設備屋さんに来てもらって、床暖が入るかチェックしてもらうと、
案の定、全く入らない。
恐る恐るせっかく大工さんが綺麗に貼ったフローリングを剥がしていくと、見事に床暖の管に
ビスの穴が…。。
床暖の管なんて直径1センチくらいの細い管で、それが15センチ間隔で並んでいるので、
どう見たって管を外す確立の方が圧倒的に高いはずなのに、見事、管を射抜いていました。現場監督が「大丈夫かな?」と言ったときから、僕の中でちょっと予感があったんですよね。
というのは、こういうの、僕、結構当てちゃう。
良くも悪くも、低い確立のものを引き寄せちゃう。友達とコンサートに行った時、何千人という人の中で番号を呼ばれ、何か景品をもらえるという
時も、友達に「俺こういうの、当たっちゃうんだよね〜。」と話し終わるや否や、
僕の番号が呼ばれて、「ほらね!」っと。だから、「当たらないで!」という僕の祈りも通じず、今回も予感的中。
現場監督と設備屋さんの会話をションボリしながら聞いていると、現場監督 「部分的に治せない?」
設備屋さん 「パネルごと全部変えた方がいいと思うよ。」
現場監督 「そんな事言ったらフローリングも全部剥がさなきゃいけないよ。」
設備屋さん 「そうだけど、心配だからさ。」
現場監督 「フローリングを剥がすのも大変だし、そもそもフローリングがもうないからね。」
なんて雲行き怪しい会話がなされていました。どうしよう。全部張り替えになった場合、どれくらい金額になるんだろう?
うちが払うんだよな〜。や〜、失敗した〜。
などと後悔の念が頭をグルグル。一か八か、溶接のプロを呼んで、部分的に治してもらう事になりました。
溶接の職人さんがやって来てみてもらったのですが、
「やってみなきゃわかんね〜な〜。」っと。でも、僕の中ではある予感が。
そう、今度は上手くいく予感。作業が終わって、床暖をつけてみると、見事安定した圧力がかかっていました。
あ〜、よかった〜。現場仕事はいろんなハプニングがあります。でも、今回のハプニングはちょっとビビりました。
ほんと、後3ミリずれていれば、なんの問題もなかったのに。この出張中、いつの間にか師走に突入していました。
そうだ、年末ジャンボ、買いに行こう!!
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東裏小学校の回りは一面真っ白。
あれだけ残暑、残暑と騒いでいて、冬なんて来ないんじゃないの?とさえ思いつつ
汗だくになりながら仕事をしていたのに、ちゃんと冬はやってきますね。
今は着込んで着込んで、仕事をしています。年内に納める事を約束したお客様の家具を必死になって製作しています。
間に合うかどうか、ギリギリ?ん〜微妙な感じになってきました。頑張ります!とてもありがたいことに、来年の仕事も大部埋まりつつあります。
ありがたいと思うと同時に、本当は今すぐにでも欲しい家具を、かなり長い時間を待って頂く
ことに、申し訳なく思っています。嬉しいことに、家具のご注文を下さるお客様のほとんどの方が、
「待っている時間も楽しみなので、全然大丈夫ですよ。」とおっしゃってくれます。
今、打ち合わせを進めているお客様の中には、家のリフォームなんですが、
本当はこの冬にリフォームに取りかかるよう工務店と話しを進めていて、その中で、
旅する木に来て、家具をご覧になり、とても気に入って下さったのですが、
納期の事を話すと、とても残念がって帰って行きました。
数日後、その方からお電話があって、
「どうしても旅する木さんに作って頂きたいので、リフォームを延期しました。」っと。
嬉しいとか、ありがたいというより、信じられませんね。
絶対に「旅する木さんに頼んで良かったぁ。」と思ってもらえるものを作ろう!と
気が引き締まります。
こんなにお客様を待たせていて、僕が休みをもらっていては申し訳ない。と、
土日祝日関係なく、日中作業をし、家に帰るとデザインを起こしたり、図面を描いたり、
打ち合わせの資料を作ったり、メールでのお問い合わせに答えたり、HPの更新…などなど。
毎日やることは盛りだくさん。
だから朝は早いですよ〜。
毎朝5時台にはそれらの作業をしています。
こういう作業って、なかなか時間ばっかりかかっちゃって、進まないんですよね〜(言い訳?)。よくお客様から「寝てるんですか?」と聞かれます。
確かに睡眠時間は短いですかね〜。この前テレビで誰かが「最小限の努力で最大限の結果を出すのがベスト」という様な話しを
していました。
”最大限の結果”って何だろう?
売り上げ?、利益?、技術?、デザイン力?
どれも他人との比較で、上には上がいるものですし、そもそも中度半端な努力では、
その結果が最大限かどうかなんて解らないと思います。僕が欲しいものは、もっと確実なもの。”最大限の努力をしている。”という確信。
これがなければ、僕はお客様に「待って下さい。」などと言えない。
しいては、自分の作る家具に値段だって付けられない。そういうものだと思っています。その原動力は、求められている。必要とされている。そして何より、喜んでもらえている。
ということに尽きると思います。酒もタバコも女もやらない、一見つまらない人生かも知れませんが、一人でも多くのお客様に
”心に豊かさを、気持ちに安らぎを感じてもらえる生活”を届けるべく、
”最大限の努力”をしていきたい。
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日が短くなってきましたね〜。
もう夕方4時過ぎると、電気をつけなきゃ、作業できない。
体育館の電気は水銀灯なので、結構見えにくいんですよね。
見えにくいといえば…。。
9/23のつむ通で書こうと思った事。
”自分の良いところは?”
僕は子供の頃からず〜っと視力が良い。
猛勉強して(?)、寝ながら本を読んで、親に隠れて布団にもぐってゲームウォッチ(古〜)
をやっても、視力検査では、一番下のマークがはっきり見えちゃう。
だから目の悪い人のことがよく解らない。中学の時、目がとても悪い友達がいて、検査の時全然見えないようで、
「一歩前に」を繰り返し、な、なんと、最終的に検査の表の2メートルくらい前に立って、
それでも結構大きいマークを
「わかりません。」と言った時、
「こ、こいつ、先生に反抗してるんだ。わざと「わかりません」って言ってるんだ。」って、
ソワソワしたのを思い出します。視力の良いはずの僕が、視力検査で恥をかいた思い出が…。。
高校の時の体力検査は、3年生が検査員をしていて、僕が1年の時、
視力検査を担当した人は、3年生の超〜超〜美人の先輩だったんです。
優しくて、大人っぽくて、憧れの先輩。視力検査の表といえば、”C ”のマークが一般的じゃないですか。
ところがその時の表は、”m ”みたいなマークだったんです。。
こんなの僕は初めて。
その先輩が最初に、”m ”を指した時、僕が「エム」と答えると、先輩はキョトンっとした後
クスクスっと笑うんです。
僕は何が可笑しいんだろう?と思いながら、次。
”m”が上下逆さまになったマークを指した時、僕の答えは「ダブリュ。」
またクスクス。
僕「?」
次に”m ”が90°回転して”E ”のようになった時、僕は「イー」
またクスクス。
それでも順調にどんどん小さいマークに進んでいきます。
僕は内心、「まだまだ。一番下まで見えるんだから。」と余裕かましていると、
一番下の視力2.0のところに来た時、初めて”E ”の左右対称のマークを先輩が指したんです。
僕「…???」
え〜?そんなアルファベットあったっけ?
一生懸命頭の中で「a,b,c,d,…x,y,z」とアルファベットを思い浮かべて、「ないじゃん!
やばい、こんな時間かけてると、2.0じゃなくなっちゃう。」
と思った瞬間、「☆!」
ある文字が頭にひらめいたんです。
その瞬間、僕の口から出た文字は
「ヨ!」
先輩、大爆笑。「なんでやねん!」って感じですよね。
ずっとアルファベットできたのに、なんでここに来てカタカナなのよ!って。後で友達に聞いたら、「バカか、お前!開いてる向きを上下左右で言うに決まってんじゃねーか!」
僕「…(恥)」一応、2.0をもらいましたけどね〜。恥ずかしかった。。
いや〜、こんなことを書くつもりで、この話題を振ったんではないんですけど…。
もっと切実な、深刻な問題が発生したのでありまして。その話しはまた今度…。
いつまで伸ばすのよ!
**************************************毎朝、毎晩、メールをチェックすると、家具のご相談や、ご質問などの他、
「今すぐ注文は出来ないのですが、HPを見て、いてもたってもいられなくなって、
メールしてしまいました。」という嬉しいメールもたまに頂きます。
そして、中には人生相談的な内容も。先日、札幌の高校2年生からメールを頂きました。
進路を考える時期、家具職人に憧れていて、『旅する木』の家具と、僕の経歴に興味を持ち、
悩んでいることがあって、話しを聞いて欲しい。そして話しを聞かせて欲しい。っと。
とても丁寧な内容のメールに、「しっかりしてるな〜。」という印象をもち、約束の日時に、
どんな若者が来るのかちょっと楽しみにしていました。時間ピッタリにノックがして現れたのは、短髪で、想像していたよりずっと真面目そうな、
札幌屈指の進学校に通っている若者、O君でした。実は、『旅する木』には、毎月一人くらい、木工を志す人が相談に来ます。
ほとんどが、30代、40代、家族がいて、別の仕事をしている方なので、僕自身、「そうそう
簡単には木工の道に飛び込めないだろう。じっくり考えて行動するだろう。」という気持ちが
あって、安心して木工の厳しさと、それに余りある楽しさを話します。
基本的に僕は、新しいチャレンジ賛成派なので、「死にものぐるいでやれば、遅くないですよ。
本当に楽しくて、充実感を感じられる素晴らしい仕事です。」というスタンスで話しをします。
僕自身がそうだったので。でも、O君の場合、まだ高校生ということで、飛び込もうと思えばすぐにでも飛び込める。
でもその後の人生で後悔しないんだろうか?
北海道でも1番、2番の進学校ということで、多くの選択肢と可能性を秘めた若者に、
僕の話すことが、彼の人生に大きな影響を与えるのでは。と思うと、とても慎重に、
言葉を選んで話しを始めました。いつもよりずっと木工の厳しさを強調しながらも、でも本当にこの仕事は素晴らしいんだ。という
ニュアンスで話しをすると、純粋で真っすぐ僕を見つめるO君の瞳は、厳しさを話している時は
ちょっと沈みがちなのですが、素晴らしさを話す時、目がキラッと輝き、興奮するのか、頬が
赤くなるのが見ていて可愛い。あまりに真っすぐに僕の目を見て話しを聞くO君のペースにはまって、いつの間にか、
木工の楽しさや、仕事の充実感ばかり話してしまいました。
でも、若者が将来を考え、悩んでいる時、厳しさに中に楽しさや、やりがいを見つけ、
自分の仕事を天命だと思って仕事をしている大人がいるんだ。という姿を見せる事は、
きっと、一般的な、的を得た答えを示す事よりも、ずっと心に響くんじゃないかと思います。O君がどんな道を選ぶにしても、いつの日か、天命だと思える仕事に出会えることを願います。
そして、その道が家具作りであったとして…、
再来年、旅する木にやってきたとして…、
僕が徹底的に技術を鍛え、若者がそれに一生懸命応えたとして…、
22歳まで出場可能な、技能五輪の家具部門で金賞(日本一)を取ったとして…。それは僕がこの道に入ったのが遅くて(28歳)、果たせなかった夢だったりして…。
**************************************11月に入って、一気に寒さも増してきましたね。
もうすぐ工房の回りにも”雪虫”が飛ぶのかな?
”雪虫”ってご存知ですか?
雪虫、白い綿みたいなものをつけて飛ぶ虫なんです。アブラムシの一種だとか?
雪虫が飛ぶと、一週間くらいで初雪が降るんですって。不思議ですね。
2005年10月に『旅する木』を立ち上げたので、まる7年が経ちました。
当別に来たのが2008年10月なので、札幌で3年、当別で4年。工房に来られた方は見たと思いますが、体育館の外のところに、手書きの『家具工房旅する木』
の看板が掛けられています。
7年前、工房を立ち上げた時、立派な看板を作るお金もなく、
僕 「看板どうしよう?」
妻 「そういうの、私得意だから、描こうか?」
僕 「手書き?高級感ないじゃん。高級家具を売ってくのに。」
妻 「先ずはお安くお安くでしょ。」
僕 「看板?家具のこと?」
妻 「看板に決まってるでしょ!安い家具作ってどうするの?」なんてやり取りの末、結局妻が描いたのが写真の看板。
札幌の東区の元タマネギ倉庫を借りて、工房にしたのですが、その入口に、
毎朝出勤した時に外に出して、仕事が終わって帰る時、中にしまうのが、
朝一番と一日の仕事の終わりの作業でした。元々札幌に知り合いなんていないので、ここに家具工房があることを知っているのは
看板を見る機会がある、近所の人だけなもので…。。
仕事なんてあるはずがないですよね。
来る日も来る日も、倉庫の中に事務所兼ショールームを作るべく、大工仕事をしていましたね。
数ヶ月。借金の返済、倉庫の家賃、工房にかかる諸々の経費、アパートの家賃などで、
家族3人(当時)の生活費をどんなにどんなに削っても、月々50万円が消えて中で、
仕事の無い日々は辛かったですね。
特に冬になりかけてる時だったので、寒いし淋しいし。
看板を外に出して、薪ストーブに最小限の薪を燃やして、それにあたりながら
「このままじゃ、家具の作り方、忘れちゃうんじゃないかな?」なんて考えたりしたものです。
淋しいので、たまに業者の人が来ると、もう絶対離さない。一時間はおしゃべり。
間違い電話でも嬉しかった(笑)。
「これも何かの縁ですから、もうちょっと話しませんか?」なんて(笑)
ナンパか!!これから独立しようと考えている人にアドバイスすることがあるとしたら、
「独立は春にすべし!」ですね。
寒くて淋しくて、そして空間が広いのに独りぼっちは、結構辛い。吹き付ける雪が看板に積もって、看板を見えなくしてしまうと、
”ここに家具工房があることに気付いてもらえない”というよりは、
”このまま『旅する木』が消えてなくなっちゃうんじゃないか?”と不安になって、
たまに雪をほろい(北海道弁?)に行ったのを思い出します。毎朝看板を外に出す時、「今日も頼むぜ。たくさんに人に気付かれてよ。」
そして夕方、「今日もありがと。寒かったね。(暑かったね)」と言いながらしまったものです。当別の東裏小学校に工房を移転してから、体育館の外に、ちょうどピッタリのサイズの
柱があって、そこに取り付けにしたので、声をかけることもなくなってしまいましたね。
この前、久しぶりに看板に声をかけました。
「久しぶりでごめんね。『旅する木』も7歳になったよ。毎日忙しく仕事させてもらってるよ。
あの頃には信じられないよね。」暑い日も寒い日も、雨の日も吹雪の日も、『旅する木』を背負ってくれているこの手描きの看板。
苦しい時期を共に過ごした戦友のような、助けてくれた神様の様な存在。
「これからもずっと見守っててよ。ありがと。」
**************************************一昨日は当別の最高気温は一桁でしたね。寒かった。
昨日はちょっと暖かかったので、「今のうち!」って工房の冬支度をしました。
ところで先日、工房にお客様が来てくれました。
ダイニングテーブルを探しているということでお話を聞くと、
何年も前に◯◯でダイニングセットを購入して使っているのですが、
家族が増えて、テーブルが小さくなったので、大きいものを。ということでした。
「椅子は今のものを使いたいので、◯◯に電話したら、”このシリーズは廃盤になっていて、
対応しかねる。”と素っ気ない態度で相手にしてもらえなかった。」と嘆いていました。そしてもう一例。
来月、ビーンズテーブルを製作することになっているお客様は、
「本当は椅子も旅する木さんにしたいのですが、予算の関係で、椅子は××の
椅子にしようと思っています。でも、ビーンズテーブルをチェリーで作るのに、カタログには
チェリーが載っていないんです。」
ということで相談を受けたので、
「僕が問い合わせて、聞いて見ますね。樹種を変えるなんて問題ないと思いますよ。」
と問い合わせたところ、「対応できません。」との返事。◯◯も××も、飛騨高山、そして旭川など家具産地の代表だけでなく、
日本を代表する大手家具メーカーです。
大手なので、一人一人のお客様の要望に応えていられないんでしょうね。昔購入した自分の会社の椅子をずっと使ってくれていて、何年後に「その椅子に合うテーブルが
欲しい。」なんていう依頼は、本来会社としては、とても嬉しいことのはずなんですけどね。
僕だったら、握手して、抱擁して(やり過ぎ)、「ありがとうございます!」と大喜びしちゃう。この前、とても嬉しい事がありました。
工房にダイニングテーブルを探しているというご夫婦が来てくれて話しをしたのですが、
「実はこれからいろんな家具屋さんを回って、見てみるんです。」とのこと。
僕はいつも、「是非、いろんな家具屋さんを見て、じっくり検討して、一番気に入った
ものを選んで下さい。」と言います。
家具選びにおいて、お客様に後悔して欲しくないのです。というのは、ショールームを案内していると、結構な割合で「あ〜、もっと早く、ここのことを
知っていれば、ここで揃えたのに。」とか、「うちで使っているのより座り心地いいわ〜。
でも今更買い替えるわけにいかないし。」という感想を聞きます。
そのような方はその後、家で後悔しながらずっとその家具を使うことになります。
それは、その方にとっても、そして使われる家具にとっても不幸なことです。『旅する木』の家具を購入して下さるお客様には、絶対そんな思いをして欲しくない。
もちろん製作した家具達にも。
だから、精一杯喜ばれるものを作るよう努力します。
そしてその前に、いろんな家具屋さんの家具を見てもらって、体感してもらって、
最後に『旅する木』を選んでもらいたい。先程のお客様、また工房に来て下さり、「やっぱり旅する木さんの家具が一番良かった。
実は私は東川(旭川の隣町で家具工房がたくさんある町)で育ったので、旭川家具や、その周辺の
工房の家具はいろいろ知ってるんです。それでも旅する木さんの家具が一番素晴らしいです。」
といって、予算オーバーにも関わらず、これから建てる新築の全ての家具一式をオーダーして
頂きました。
絶対に後悔させないように、ずっと喜んで、可愛がられて使ってもらえるものを製作しようと
思います。冒頭の日本を代表する大手家具メーカー話し。
会社の規模だとか、売り上げだとか、そんなものではかなわないけれど、たった2点だけでは
絶対に負けないものつくりをしたい。『家具を購入して頂いたお客様一人一人の喜びの大きさ。』
そして
『僕ら製作している側の、製作過程の楽しさと、その家具に対する思い。』これだけは他のどの家具屋さんにも負けない家具作りをしていきたい!
**************************************
先日、ある男性が工房に来てくれました。
「彼女にプロポーズするのですが、彼女が旅する木さんの作品がとても
好きなので、指輪を入れるケーズを作って下さい。」
との依頼。こんな依頼されたら気合いが入らない訳がない。
「よ〜し。絶対にプロポーズを断れなくなっちゃうようなものを作ろう!」
なんて要らぬ心配は置いておいて、気合いを入れて製作したものが上の写真。
大切なものをリボンで包んでいるイメージなんです。
ラインのウォールナットのパーツが2ミリとか3ミリで、しかも全部留め(45°)
にカットするので、手でパーツを押さえると、指先の1ミリ先が1秒間に何千回転
している刃物。なんていうとっても危険な作業。
ちょっと油断したり、恐々と加工していると、数ミリのパーツがパ〜ンといって
飛ばされちゃう。
コンタクトをなくしたときの様に、床に這いつくばって、飛んでいったパーツを
探したりして。
そんな苦労をして、箱が完成。
『ありがとう』の文字も入っているんですよ。そして指輪をはめ込むスポンジみたいのをどうしよう?これは妻の分野。
妻が素朴だけど、可愛らしさと爽やかさがある布をいくつか探してきて、
手縫いして試作。
深さとか、きつさとか、何度も調整しながら完成〜♪
小さいけど、とっても苦労したring-case。
でもその可愛さに大満足。
「あ〜、渡す時こっそり近くにいて、彼女の反応を見てみたい!」
なんて思っていると、
「指輪を入れるケースにまで気を配ってこだわるんだから、優しいんだね。ステキだね〜。」
「・・・」
聞こえない振り(笑)。プロポーズする日を聞いていたので、なんだか自分の事のように、その日を
待っていたりして。
妻と「どうだったかな?」なんて話していると、
打ち合わせで僕が工房を留守にしている間に電話があって、妻から、
「とっても喜んでくれて、OKもらったって!」というメールが入りました。
なんだか自分の事のように、とても嬉しくなりました。プロポーズという一世一代の大事な、そして、一生の記念、思い出になるイベントに
旅する木の作品を選んで頂いけるなんて、とても嬉しいことです。”もの作り”を通して、”物語り”を作っていきたい。
という思いで毎日木と向き合っている僕にとっては、また一つ、
僕自身思い出に残る、物語りを作らせて頂きました。Kさんご夫婦(まだですね…)、おめでとうございます!どうぞお幸せに。
またいつでも、工房に遊びに来て下さい。お待ちしております。プロポーズ?僕の場合?
う〜ん、物語りになっていませんね。残念!!**************************************
札幌のすぐ隣の田舎町、田園風景ど真ん中の小学校
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